近年、生活習慣の変化により外出自粛やテレワークなどで活動量が減り、体重管理を気にする方もいることでしょう。セルフダイエットを心がけても、なかなか体重コントロールは難しく、長続きがしなかったり、リバウンドを繰り返したりすることもあります。

そこで、男女問わず、部分痩せを含む医療ダイエットへの興味が高まっています。また、医療ダイエットを検討する際に気になるのはその費用です。本記事では公的医療保険制度や医療ダイエットの保険適用について解説します。

公的医療保険制度の適用範囲

公的医療保険制度の適用範囲を知る前に、まず公的医療保険制度とは何か解説します。

公的医療保険制度について

日本の公的医療保険は、職業や年齢によって種類は異なりますが、生まれたときから全員が「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」のいずれかに加入しています。これを「国民皆保険制度」と言い、国民全員が平等に医療を受けられるように1961年に始まりました。

日本の「国民皆保険制度」は、国民全員(被保険者)と保険者が納める保険料と、国や地方の公費を投入して成り立っています。たとえば体調を崩して医療機関を受診する場合、どの医療機関を受診してもよく、保険に加入していることを証明する保険証を提示すると、窓口で支払う金額は基本的に医療費の3割負担ですみます。

残りの7割は、医療機関が診療報酬として請求すると、保険料や公費から支払われるという仕組みです。さらに公的医療保険制度には、医療費が高額になった場合でも、収入に応じた限度額を超えた分が支給されるという高額療養費制度もあります。

国民皆保険制度があることで、日本は低い費用で医療が受けやすく、世界でも長寿の国として知られ、健康水準が高いことで評価されています。

公的医療保険の適用範囲

公的医療保険制度では、保険が適用になる病名、治療法、検査、手術などが細かく分類されています。基本的に、病気とケガの医療、歯科診療、薬局の調剤費、訪問看護医療などは保険適用になりますが、先進医療や差額ベッド代、歯科材料、正常妊娠と出産、美容整形費、健康診断や予防接種などは、保険適用になりません。不妊治療は助成金が支払われていたものの保険適用ではありませんでしたが、2022年4月より保険適用になることが決まりました。

形成外科と美容外科の保険適用

形成外科と美容外科は、ともに1970年代半ばに診療科として掲げることができるようになり、保険適用になる病気や治療方法の拡大をすすめています。
なお形成外科は、生まれつきまたはケガやがんなどによる変型や欠損などを外科的に治療し、機能回復や外見を再建して生活の質も向上させることが目的の診療科で、保険適用になります。

一方、美容外科は、客観的には病気ではないものの、見た目をきれいにして満足度を高めることが目的の診療科のため、基本的に自由診療です。

医療ダイエットは保険適用されるのか

公的医療保険の適用範囲に、「病気やケガの医療」とありますが、医療という名の付く「医療ダイエット」(「メディカルダイエット」、「医療痩身」など)は保険適用になるのでしょうか。

医療ダイエットは、形成外科や美容外科、美容皮膚科などの専門医や看護師による、注射や医療機器を使った医療行為による痩身治療です。ただしその目的は、体重を減少させることにあるのではなく、脂肪を減少させて体型を改善し「見た目をきれいにすること」です。そのため美容目的の診療となり健康保険の適用にはならず、自由診療になります。自由診療の場合、料金は各施設で自由に決めることができます。各施設での治療方法、料金、保証制度などをよく比較検討することが大切です。

副次的な効果による場合は保険適用が可能?

美容目的の場合は、部分痩せも、減量も前述のとおり保険適用になりません。また、薬の副次的な効果の体重減少を期待して使用する場合も適応外となり、保険適用になりません。加えて、本来の薬の作用や副作用のリスクもあるため、日本で承認されていない効能・効果を期待した使用はおすすめできません。では、ダイエットのなかには保険適用になるケースがあるのでしょうか。

肥満症の治療には保険適用が可能

治療が必要な肥満症に適応のある薬があります。一般的に肥満症とは、身長と体重から求められるBMIが25㎏/㎡以上とされており、更に肥満の度合いによって4段階に分類されます。中でも、肥満症治療で保険適用されるのはBMIが35kg/㎡以上の場合とされています。なお現在、日本で承認されている薬は1品目だけです。

マジンドール(サノレックス®)

BMIが35㎏/㎡以上の高度肥満の方限定で、食事療法と運動療法を行い、効果が不十分な場合に、肥満治療薬である食欲抑制薬を1〜3ヵ月間使用します。この場合は保険適用になりますが、依存性などの副作用、併用に注意が必要な薬などがあるため、医師の指導の元で服用します。以上の条件でない場合には、適応外使用になります。

糖尿病のある方の場合には保険適用

糖尿病の薬物療法のうち、血糖値を下げる効果に加え、食欲を抑えて体重減少が期待できる薬(抗肥満症薬)や尿糖の排泄を促して内臓脂肪を減らす働きのある薬(SGLT-2)などがあります。特に2型糖尿病では、体重コントロールが血糖値の改善や糖尿病の合併症予防につながることがわかっているため、食事療法や運動療法で効果が不十分な場合に薬物療法を行います。糖尿病のある方に、糖尿病治療の目的で使用した場合には保険適用になり、副次的に体重減少が期待できます。

副次的な効果を目的とした場合は自由診療

糖尿病治療薬のGLP-1 受容体作動薬は、1日1回または1週間に1回注入することで、食事にともなう血糖上昇に合わせてインスリン分泌を促し、血糖値コントロールをする薬です。胃の蠕動(ぜんどう)運動や食欲を抑える作用で体重減少が期待できます。使用上の注意として、低血糖や急性膵炎、腸閉塞といった重大な副作用もあり、医師の指導の元で使用する薬です。

なお、海外は日本と比べて肥満者の割合が多く、肥満症治療が進んでいます。そのため、日本で承認されていない肥満症治療薬も複数あり、個人輸入や自由診療で使用される方もいますが、いずれも副作用による健康被害に対しては救済されないため、注意が必要です。しっかりと医師・医療機関の指示のもと使用するようにしましょう。

効果が認められている医療ダイエットを紹介

部分痩せやダイエットをするには、医師の指導の元で行われる医療ダイエットが安心です。医療を駆使したメディカルダイエットには、皮下脂肪と内臓脂肪をターゲットにした、科学的根拠が認められたアプローチがあります。

皮下脂肪をターゲットとしたアプローチ

クールスカルプティング

クールスカルプティングは、蓄積した皮下脂肪を部分的に減らす方法として、科学的に根拠のある施術方法です。クールスカルプティングを施術するための脂肪冷却装置は、日本で唯一脂肪減少作用について厚生労働省に承認されています。皮下脂肪を冷却し脂肪細胞のアポトーシス(自然死)を誘導し、自然に排泄されることで脂肪細胞の数を減らします。皮膚には影響を与えない低温治療のためダウンタイムが少なくリバウンドもしにくい施術方法です。

ヴァンキッシュME®

ヴァンキッシュME®は、減らしたい脂肪のある部位に直接触れることなく、脂肪組織を44~45度に加熱し、脂肪細胞のアポトーシス(自然死)を誘導し、脂肪細胞の数を減らす施術方法です。BMI値の制限がなく、お腹など広い範囲の施術に適した方法です。クールスカルプティングと同様、ダウンタイムが少なくリバウンドもしにくい施術方法です。

内臓脂肪をターゲットとしたアプローチ

抗肥満症薬

抗肥満症薬は、前出の糖尿病の注射による治療薬です。血糖降下作用に加えて、食欲抑制作用や胃の蠕動運動を抑えて小腸に食物が移動するのを遅らせる働きで、食事量を減らし体重減少が期待できます。毎日1日1回注入するサクセンダ®などがあり、ペン型の注入器で自分の腹部に注入します。

抗肥満症薬による医療ダイエットをおこなう場合には、導入前に血液検査や基礎疾患などの検査を行い、医師から副作用や初期症状の説明を受けて行います。気になる症状があれば、すぐに医師に相談するようにしましょう。

湘南美容クリニックの医療ダイエット

湘南美容クリニックの医療ダイエットでは、皮下脂肪をターゲットとした部分痩せや、内臓脂肪をターゲットとしたダイエット方法を組み合わせておこなうことができます。また、その施術方法も、医療機器や注射療法など、さまざまな施術方法をご用意しています。

皮下脂肪をターゲット

脂肪細胞を冷却して破壊し排出する「クールスカルプティング
脂肪細胞だけを加熱して破壊し排出する「トゥルースカルプiD」「ヴァンキッシュME®」など
脂肪溶解注射の「BNLS アルティメット」「山参注射(高麗人参注射)

内臓脂肪をターゲット

食欲を抑制する「ラクやせ外来(サクセンダ)」など

湘南美容クリニックが提供する医療ダイエットの詳細はこちらからご覧ください。
医療ダイエット・部分痩せなら湘南美容クリニック【公式】|美容整形・美容外科
湘南美容皮フ科内科クリニック六本木院|メディカルサイズダウンなど医療ダイエット・痩身に特化

費用だけで医療ダイエット方法を決めないようにしよう

美容外科でおこなう医療ダイエットは、基本的に保険適用にならず自由診療のため、医療施設ごとに料金が違います。また、施術方法や施術にともなう処置やアフターフォロー、副作用などが生じた場合などの補償もそれぞれです。しっかりとした効果のある施術やアフターフォロー、施術経験の実績など、よく見極めて選ぶことが大切です。
なお、保険適用になるという謳い文句がある場合もあるでしょう。その場合には、基本的に自由診療であることを念頭に、保険適用になる理由などの説明を受けるようにしましょう。

医療ダイエットをご検討される際には、施術の種類が多く、専門医による実績が豊富な湘南美容クリニックにご相談ください。患者さま一人ひとりに合わせた最適な医療ダイエットプランをご提案いたします。